小さな一粒の、大きな責任。

Responsibility in creation and care in consumption
one chocolate at a time

公正でサステナブルなカカオ Conscious and Sustainable Cacao

一般的な嗜好品としてのショコラの歴史は、16世紀にスペインの征服者がカカオを欧州に持ち帰ったことに始まります。
当初は貴族階級の高級な嗜好品でしたが、産業革命を経て大量生産が可能となり、世界中に広まり大衆化しました。
しかしその背景では、赤道直下のカカオ生産地が植民地支配と搾取的なプランテーションによって成り立ち、児童労働や人権侵害、森林破壊、生物多様性の喪失といった深刻な問題を引き起こしてきました。
そして今もなお、「原価の犠牲」はカカオ生産地に集中しています。

近年話題となっているカカオ価格の高騰は、気候変動や金融市場など、複合的な要因が絡み合った結果です。
しかし私たちは、この現象を「現代社会がこれまでの原価の犠牲を是正する過程」であると捉えています。
ショコラトリーとして、“使う責任”“つくる責任”、そして“提供する責任”に正面から向き合い、本質的なショコラの価値をお客様へお届けする。それが私たちのビジョンです。

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NICOが使用する
クーベル・チュール
Our Signature Couverture

私たちショコラトリーやパティスリーは、製菓用原料チョコレート「クーベル・チュール」をメーカーから仕入れ、クリエーションを行うのがこれまでの一般的な手法です。一方で、カカオ価格高騰を受け、或いは自身のフィロソフィーに基づき、現地の農園とカカオ豆を直接取引、焙煎、加工を行う「Bean to Bar」や、現地の栽培から関与する「Farm to Bar」という手法も広がりを見せてきました。留まることのない原料価格高騰に対しどのような手法を選択するか、私たちは岐路に立たされているように感じます。この境遇の中で、自身のクリエーションを見つめ直し、フィロソフィーを深掘りし、見出した答えは”つかう責任”と”つくる責任”と向き合うこと。重要なのは、本質的なサステナビリティを体現できるかどうかだと考えています。NICOでは、言葉でのサステナビリティではなく、カカオ生産現場との長期的なパートナーシップの下に、カカオ生産現場での厳格な監査・管理・保守が行われるアクティブなサステナビリティを体現する(仏)ヴァローナ社,(仏)カカオバリー社のクーベル・チュールを使用しています。

100% ORGANIC

オーガニック

化学的なものを使用せず、天然由来の防虫剤や農場内の動植物の共生による肥料など、持続可能なアグリエコロジー。世界最大規模の国際有機認証ECOSERTや日本国内有機JAS規格を取得。

AGROFORETRY

アグロフォレストリー

森林資源を最大限に生かしながら農林業を複合的に行うアグロフォレストリー。森林を破壊することなく、樹木を植え、生物多様性の再生を行っています。

FAIR TRADE

フェアトレード

公正な取引を理念に、労働搾取・児童労働問題と向き合い、現地の教育環境・労働環境を整備し、現地文化の尊重と人権の持続可能性を実現しています。

発酵 Cacao Fermentation

ショコラの製造過程で、カカオ豆が発酵工程を経ていることをご存知じゃない方も多いように感じます。しかし、本質的なショコラの複雑な香りや余韻は、この発酵プロセスが重要な鍵を握っています。産地により異なる土壌やカカオの品種、気候や土地の文化、そしてこの発酵の工程は、ワインなど語られる「テロワール」そのものです。発酵の核となる酵母菌は、土壌や水、樹皮、果実、花蜜などの自然界の凡ゆるものに生息し、産地の生態系も重要なポイントです。どこで、誰が、どのように発酵させたかがカカオのキャラクターを形成するのです。NICOで使用しているクーベル・チュールは、栽培のみならず現地での発酵プロセスにおいての研究、管理、技術の継承を行い、発酵を含めた最高品質のカカオが追求されています。

シングルオリジンの特徴 A World of Flavors

シングルオリジンカカオ(単一産地のカカオ)は、産地のテロワールの違いによりキャラクターがそれぞれ異なります。例えば、乾燥地や熱帯など気候的な特徴、火山性土壌や赤土など土壌的な性質、共生する動植物など、その土地の気候、風土、文化を強く反映します。普段映像や写真でしか見たことがない国々でも、その土地の環境や文化を改めて知り、想像しながら実際に味わってみるのも面白いかもしれません。きっと、ショコラの深い世界が見えてくるでしょう。

Belize

ベリーズ

スパイスの甘みとシャープな酸味に続く、ほのかな甘みをおびた苦味。最後に贅沢な完熟フルーツのようなノートが現れる。

Dominica Milk

ドミニカ

フルーティーな酸味と、繊細な苦味に彩られた、持続するナッティーなアロマが特徴。

Venezuela

ベネズエラ

力強い苦味の中にレーズンやマロンの深みのある香りと、甘草のようなアロマのバランスの良い風味。

Peru

ペルー

ブラックベリーやブルーベリーを思わせる酸味に続く、ローストしたピーナッツのようなアロマと力強いカカオ感、クリーミーな質感が特徴。

Brasil

ブラジル

はっきりとしたパッションフルーツのアロマに続いて、徐々に現れるまろやかなカカオ感が特徴。

Ghana

ガーナ

繊細な酸味と丸みを帯びたチョコレート風味に続く、スパイスの香りと、やわらかな苦味が特徴。

Madagascar Milk

マダガスカルミルク

フルーティーなバナナのアロマに続く、スパイシーな味わいとモルトの香りによるリッチなカカオの苦味が特徴。

Madagascar

マダガスカル

フランボワーズやスグリなど、赤いベリー系の華やかな酸味と明るい色合いが特徴。

世界が交差するラボ A World of Origins, A Taste of Japan

壮大な物語が詰まったクーベル・チュールが私たちのもとに届いた後、ここからは副食材とかけ合わせてクリエーションをする私たちの仕事です。
キャラクターの異なるカカオを見極め、凡ゆる副食材との可能性を想像し、西洋のテクニックをもって試行錯誤・具現化します。それは正に異文化の掛け算。決して大きいとは言えない片田舎のラボでそんなことを日々黙々とやっていますが、ふとした瞬間に、その責任の重さを実感することがあります。何も犠牲にせず、それぞれの個性を活かし、お客様に驚きと歓びを提供する。 つくる責任とは、サステナビリティを前提とした三方良しのクリエーションだと考えています。

NICOが使用する副食材

Milk

一頭一頭に目の届く範囲の小規模酪農によって生産されたオーム乳業の鮮度の高い九州産生乳を使用しています。

Fruit

九州産の鮮度と地域性の高いフルーツを、季節によりその時に一番いいものを使用しています。

Herb

小郡で約50種類の無農薬ハーブを栽培するRush Farmのフレッシュな手摘みハーブを使用しています。

Spice

タヒチ産バニラやネパール産のティムットペッパーなど、香り高い高品質なものを使用しています。

Tea

京都宇治田原 大川碾茶工房の本抹茶、嬉野 三根孝一緑茶園のほうじ茶など、目の届く範囲の小規模栽培にこだわり、香り高く鮮度の良い茶葉を使用しています。

Coloring

装飾には欧州規格に準じてオーガニック栽培された野菜やフルーツからつくられたSOSAのカラーパウダーを使用しています。

サステナブルなパッケージ A Sustainable Package

ボンボンショコラは温度変化に敏感で、衝撃に非常にナイーブな食品です。店頭でお渡しする際、或いはオンラインでのご注文で発送する際、保温性や耐久性を考慮してプラスティックを用いた様々な包装、梱包をするのが業界的にも一般的です。しかしNICOでは、極力シンプルで低環境負荷の梱包を模索してきました。現在、物流間の耐久性を維持しながら、脱プラスチックを実現しています。また、凡ゆる情報はWebに集約し、印刷物の作成を最小限にする取り組みを行っています。
お届けする小さな一粒がお客様の心を満たし、
やがて世界を満たす大きな変化につながっていくことを願っています。